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三話 夢の中と現実世界

Author: Tubling
last update Last Updated: 2025-05-21 09:30:57

 セリーヌに言われて眠ったはずなのに、なぜか私はクラウディア先生の後ろにいて、彼女は学園での服を着て学園内を歩いている。

 何度もプレイしたゲームなので、ここがドロテア魔法学園の校舎内である事はすぐに分かった。

 どこに向かっているのだろう…………廊下を歩いていると生徒たちが声をかけてきて、クラウディア先生も楽しそうに言葉を返していた。

 

 「先生、次の授業は何を教えてくれるの?」

 「クラウディア先生、この魔法のコツを教えて」

 その様子を後ろから見守るような形になっていた。幽体離脱というより、夢で彼女の記憶を見ているって事かな?

 もちろん生徒たちには私の姿は見えていないようだ。

 生徒達との会話が終わり、広い校舎内を一人歩いていくクラウディア先生の後をついていくと、エントランスホールに下りる大きな階段にさしかかった。

 クラウディア先生は普通に下りようとしていたのだけど、突然時が止まったかのように彼女が動かなくなる。

 どういう事?これは魔法なの?

 今の私は幽体みたいな状態だからなのか、私自身は自由に動く事が出来ているわ。

 クラウディア先生の前に行って先生を起こそうとしてみたものの、透けてしまって触る事も出来なかった。

 そりゃそうよね……記憶を見ているのかもしれないし、もしこれが過去の出来事なら私がどうこう出来るわけがない。

 じゃあ、この後ってどうなるんだろう。

 確か私が目覚めた時にセリーヌや殿下が階段から落ちてって言ってたような……するとクラウディア先生の後ろからノイズのような性別が分からない声が聞こえてきたのだった。

 

 「さようなら、クラウディア先生」

 

 その声とともに時間が動き出し、誰かに背中を押されたクラウディア先生は階段を一直線に滑り落ちていったのだった――――

 

 『クラウディア先生!』

 

 もちろん私の声など届くわけはないんだけど、先生の元に駆けつける前に突き落とした犯人の方を振り返ると、影のようになっていてよく見えない。

 誰なの?誰が先生を――――――絶対に見つけてみせる――――!

 そう決意したところでゆっくりと目が覚めて、今いる世界に意識が戻っていく。

 

 「…………夢……」

 

 目覚めると酷い汗をかいていて、ネグリジェのようなドレスも汗で湿っていた。

 さっきまで見ていたのは夢じゃない、多分だけどクラウディア先生の記憶だ。

 そのおかげで彼女の今までの記憶がよみがえってきて、自分がどういう生活をしていたのか、学園での立ち位置、魔法の使い方など様々な事が走馬灯のように頭の中を巡ってきた。

 あまりに多くの情報量に混乱はしつつも、ホッと胸をなでおろす。

 良かった――――魔法学園に勤めているのに魔法が使えなくなってしまったなんて知られたら、きっと大騒ぎになってしまうものね。

 着ているものもネグリジェではなくシュミーズドレスだと理解できるようになったし。

 「まだ少し頭痛が残っているから、試しに癒しの魔法を使ってみよう」

 目を閉じて、体の奥に流れる自分の魔力に集中すると、胸の奥が熱くなり、力が湧いてくるのが分かる。そして私の周りを温かな風が包み込んでいく。

 「慈愛に満ちたる命の息吹よ、我にその力を――――キュアウィンド」

 魔法の詠唱などしたこともなかったのに、風魔法を試してみたら自然と口から詠唱が出てきたのだった。

 本当に魔法が使えるなんて、すごい。

 治癒魔法を使った事ですっかり頭痛はなくなっていた。

 「とっても便利。それに頭が痛くないから楽になったわ」

 魔法が使える事に感動しつつも、殿下が帰って眠りについた後、目覚めたら元の世界に戻っていないかな、なんて淡い期待を抱いていた。

 でも実際は起きても状況はまるで変わっていないし、元の世界に戻る方法も分からない……それに最後のトラックが突っ込んできた場面だけは鮮烈に覚えているので、正直私はあの時に亡くなった可能性が高いのだろうと思う。

 今さらながら現実が重くのしかかってくる。

 なんの為に今まで頑張ってきたんだろう……前日もあんなに一生懸命練習したのにそのせいで寝坊してこんな事になるなんて。

 まだちゃんとした恋愛もした事もなくて、色々とやりたい事もあったのに。

 家族もいない、この世界で一人……私はしばらく頭を抱えたまま涙していた。

 涙が止まらないのは、クラウディア先生の記憶が頭に流れてきたのもあったのかもしれない。

 彼女の記憶を垣間見て感じたのは、彼女もまた孤独だったという事だった。

 10歳くらいにこの容姿に成長していってから、とにかく周りの男性に性の対象として見られるようになり、女性からは嫌悪され、友達も出来ない。

 どんなに周りに気を遣ってもその状況が変わらないので、諦めて高慢で妖艶な女性を演じるようになっていった。

 周囲の状況はますます悪化するばかりだったけれど、クラウディア先生自身の気持ちは自由を得て軽くなっていく。でもそれが、さらに孤独を深めていって――――

 色々な事を諦めてきた彼女の心が重なり、余計に涙が出てくる。

 本当は普通の女の子として生きたかった……彼女の祈りにも近い願いを感じる。

 普通の女の子。それなら私にも出来るかもしれない。

 もうこの世界で生きていくしかないんだなと内心では分かっているから、彼女の願いを胸にクラウディア先生として生きる覚悟を決める。

 そして絶対に先生を突き落とした犯人を見つけるわ!

 

 だからこそ魔法の力が使えるという事は今の私にとって、とても大きな事だった。この世界で生き抜いていく為に――――

 頭痛が治ってすっかり体が元気になったので、ベッドから起き上がって窓際の机に腰かけ、今後どうしていくべきかについて考える事にしたのだった。

 「まずは私を突き落とした人物を突き止めなくてはね」

 あの時、クラウディア先生は魔法を使う事も出来ずにあっという間転がり落ちてしまったので、顔を見る事は出来なかったはず。

 彼女の存在が都合が悪い人物が、学園にいるという事よね。

 もともとクラウディア先生は悪女設定なので、あちこちから恨みを買っていても仕方ないのかもしれないけど、命を狙われるほどというのは穏やかではないわ。

 理事長――――シグムント王太子殿下にでも相談してみようかな。

 そしてこの世界で生きていくには、ゆくゆくはラスボスを倒さなくてはならないのだろうと考えると、違う意味で頭がいたい。

 その内王都の外へ出て、縦横無尽に魔物を倒しに行く事になるのだろうか……ここはアクションゲームの世界だし、そうなるのよね。

 王都は陛下の力によって魔物が近寄れない結界が張られているから安全だけれど、外には魔物がいるエリアがある。

 そして放っておくとどんどん魔物が溢れかえってきて、この世界そのものの危機になっていくのだ。

 それもゲームの通りなのかな…………私が机に向かって悶々と考えているとドアがノックされ、セリーヌが一人の男性を連れて部屋に入ってきたのだった。

 その男性は王太子殿下より1回りも大きく、私と同じ髪色で少し年老いていたので、すぐにクラウディア先生の父親にあたる人物である事は分かった。

 「お嬢様、元気になられたのですね!旦那様がお帰りになられて心配でお顔を見たいと」

 「クラウディア!机に座っていて大丈夫なのか?!階段から落ちたのだぞ?」

 話し方を見ているだけでとても心配してくれているのが伝わってくる。

 クラウディア先生は、唯一自身の家族とは仲良しだったのよね。

 それだけが彼女の孤独を癒していた。

 「大丈夫ですわ、お父様。さきほど魔法で頭痛も治しましたし、もうなんともありません」

 そう言って笑顔で返すと、心底ホッとしたような表情で私の目の前にきて、両手を握ってきた。

 「お前は突き落とされたのだ。覚えているか?下から見ていた者がいてな……だが誰に落とされたかまでは分かっていない」

 「やっぱり私は突き落とされたのですね。気付いたら転がり落ちていたので顔までは覚えていなくて……」

 「ああ、いや、無理に思い出さなくてもいいのだ。頭も強く打っているし、記憶も混乱しているのだろう。我が娘にした暴挙は必ず暴いてみせるからな……もし何か思い出したらすぐにでも伝えるのだぞ」

 目の前の父と思われる人物は、事件について熱く語り、自分は私の味方だと伝えてくれたのだった。

 まだ転生したばかりだけれど、家族が自分の味方でいてくれるというのはとても心強いものだなとしみじみしてしまう。

 「ありがとうございます、お父様。ひとまず学園に復帰して王太子殿下に相談してみますわ。殿下なら何か知っているのかもしれませんし」

 「で、殿下に?お前と殿下は…………いや、しかし殿下に報告をしておいた方がいいだろうな。分かった」

 きっとお父様は私と殿下が犬猿の仲である事を気にしているに違いない。その相手に相談をすると言い出したので動揺したのね。

 でも殿下は上司だし、復帰したらひとまず彼に報告がてら相談しに行ってみよう。

 ずっと寝ていた事もあって体力が落ちていたので、学園への復帰は10日後に決まり、それまで私は部活の時のように一生懸命体力作りに励んだ。

 その結果――――ほっそりしていた腕からは筋肉の筋が見えるほどに鍛えられ、魔法の方もしっかりと使い方をマスターしてから復帰する事が出来たのだった。

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